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シモバシラ

 氷の花を咲かせるシモバシラは林の中に生える多年草です。学名はKeiskea japonica ですが、 「属名のケイスケアは、幕末から明治にかけて活躍し、リンネ学説を紹介した植物学者の伊藤圭介にちなんでつけられたといいます。 (黒崎史平『植物の世界20』1994、朝日新聞社)

シソ科の植物で、秋には白か薄紅色の小さな花をまるで鋸の歯のように多数つけます。冬に茎が枯れても根は地面の中で元気に生きていて、翌年また芽を出して成長し花を咲かせる多年草の植物です。関東から九州まで幅広く分布しており、山林の中や渓流の周辺で多く見かける事が出来ます。
花そのものは白い小さな花の集合で、どこにでも見るような雑草という感じのどちらかと言えばあまり目立たないありきたりの草です。
しかし、でもシモバシラの言葉の所以は冬にあります。シモバシラは初冬に大変身をするのです。

 秋に咲いたこの花は、枯れた後の寒い日にもう一度美しい花をつけるのです。といっても本物の花ではありません。氷の花を咲かせるのです。

地中から吸い上げられた水が、夜間の寒さで凍り、枯れた茎を割って吹き出して氷の花を咲かせるのです。この珍しい氷の結晶の花を霜柱に見立てたもので、時には前日のあるいは前々日の花の上から咲くこともありそれはまさに氷の彫刻、自然の美しさに言葉を失います。

 シモバシラが、見事に見られる時は、初めての寒波で急激に冷え込んだ日で、かつ(1) 気温が氷点下ぐらいにまで下がった早朝  (2) 風が弱い、または無風のとき (3) 雨や雪が降っていないとき  といった条件が揃った時で、こんな日は地上に吸い上げられた水分が茎からはみ出して「氷」となって現れるんだそうです。土壌が凍ってしまうと根が水分を吸い上げることができなくなるので、真冬には見ることができません。また、日が当たると溶けてしまい、晩秋から初冬の朝にしか出会うことのできない貴重な現象です。


高尾山では、「もみじ台」の北側巻き道周辺(杉林の中には「シモバシラ」観察コースあり)、山頂から一丁平方面で見られますがいずれにしても早朝に行かねばなりません。特にいい場所ではハイカーやカメラマンが集まっていて形の良い「シモバシラ」の撮影順番待ちももあるようです。いずれにしても秋のうちに花を見つけて冬を楽しみにしておくのがいいでしょうう。




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