スズメバチの恐怖
高尾山は自然の宝庫。でも時として不用意な行動に自然は牙をむいてくることもあるのです。
以下の新聞記事をご覧ください。99年10月に高尾山遠足中に児童や園児23人ハチに刺
されるという事故が発生しました。きれいに整備された自然研究路にもこのように気を抜くと危険な場面があります。
99.10.20 読売新聞 東京朝刊 より
八王子市高尾町の高尾山のハイキングコースで十九日、遠足に来ていた町田市立南第二小学校の四年生児童と、国立市立矢川保育園の園児らがクロスズメバチの群に襲われ、計二十三人が頭や手足などを刺された。うち、左ひざを刺されて自力で歩けなくなった四年生の女児(10)一人が担架で救助され、他の負傷者は自力下山した。
襲われたのは同日午前十時四十五分ごろで、症状はいずれも軽く、病院で手当てを 受けて同日午後には全員帰宅した。
高尾署や八王子消防署の調べによると、現場は高尾山に六つあるハイキングコースのうち最も南側を通る「稲荷山コース」(三・五キロ)の見晴台付近。南二小の四年 一、二組の児童六十七人が、引率教諭四人とともに午前十時ごろからグループごとに ケーブルカーふもと側の清滝駅前から歩き始め、約一・五キロ登ったコースわきの木 の根元にあった巣から飛び出したクロスズメバチに襲われ、女児十四人、男児六人が頭、手足、背中などを次々に刺された。その直前に、近くを歩いていた矢川保育園の五―六歳児、保母ら二十六人のうち男児一人、女児二人も右手や鼻などを刺された。
高尾署では、ハチが飛んでいたため、児童らが木の根元を棒でつついたりしている
うちに、襲われた可能性が高いと見ている。右腕や腰を刺された男子児童(9)は 「前を歩いていた友達の叫びに驚いて逃げたけど、ハチが追いかけて来てチクチク刺してきた」と驚いていた。
都多摩動物公園の昆虫園などによると、クロスズメバチは体長一―二センチくらいで黒に黄色の斑点(はんてん)があり、木の根元や草むらの土などに巣を作ることから通称「地バチ」と呼ばれる。毒性は大型のオオスズメバチやキイロスズメバチなど より弱いが、頭回りを刺された時や、体質によってはショックを起こすこともある。
また、ハチは秋から冬にかけてはえさ不足で警戒心が強くなり、巣に接近しただけで攻撃されることもある。威嚇してから襲うため、気付いたら騒がずにその場を離れるべきだという。
東京消防庁では、刺されたら、針があれば除き、まず冷やすよう注意している。
高尾山にある都高尾ビジターセンターでは、この日午後から稲荷山コースを当面の間、通行禁止にした。
同コースでは今月十七日にも登山者二人から「ハチに刺された」と連絡があったため、清滝駅そばの登山口に張り紙をするなどして注意を呼びかけていた。寒冷期に入 り、ハチが活発に動き回る時期も過ぎていることから駆除は行わない方針で、しばらく様子を見て通行禁止を解き、「巣がある現場付近をロープで囲って、登山者が近づかないようにしたい」としている。
小雨猛暑のスズメバチ大量発生に注意
スズメバチに刺されて死亡する人は、毎年3,40人程度出ており、そういう意味ではまむしより危険な存在です。また巣がわかれば近寄らなければいいのですが、オオスズメバチは、地中に巣を作るのでわかりにくいのです。
人が気付かずに巣に近寄ると、見張りのスズメバチが接近してきます。大声を出したり、叫んだり、飛んできたハチを手で振り払うと、ハチは攻撃されたと判断し、反撃体勢に入る。巣から離れた場所では、何もしないかぎり人間を襲うことはないので、むやみに振り払おうとせず、飛び去るまでじっとすることが大切。スズメバチは興奮して警報フェロモンも出し、次々に仲間の蜂が襲ってくることになります。刺激しないように静かに速やかにその場を離れることが最良、唯一の策です。
また野山を歩くときは、白い服、帽子をかぶってください。スズメバチは黒い色を認識することが得意。逆に白い色はあまり認識できない。そのため、巣やハチを刺激してスズメバチを怒らせてしまった場合、真っ先に狙われるのが髪の毛や瞳、黒い服。そこで、野外に出る時は、できるだけ黒い服装を避け、帽子などをかぶるのがお薦め。肌を露出せぬように、長ズボンやスラックス、長袖を着用してください。
スズメバチに襲われた場合、姿勢を低くするとハチが人間を見失い、飛び去ることが多い。ただし、巣の近くで黒い服を身につけている場合は、かがむ動きを追われ、引き続き刺される危険があるため、その際は、できるだけ巣から遠くに逃げるのが安全。
また、刺されたら傷口を水で洗い冷やすこと。抵スタミン軟膏やステロイド軟膏を塗ってください。アンモニアが効くというのは俗説で効果はありません。ましてやおしっこをつけるなんて馬鹿なまねは絶対に止めてください。また過去に蜂に刺されてショック症状が出た方は、この季節は蜂のいるところに近づかない方が得策です。
ところで小雨・猛暑の年は、巣作りが容易で餌になる虫も多いため大量発生する傾向があります。平成13年は、キイロスズメバチは例年の10倍が記録されています。夏に巣が大きくなり、次の女王蜂を育てる9月から10月にかけては特に警戒が必要です。高尾山を訪れた方々から、すでに蜂で恐いめにあったというメールもいただいています。楽しい高尾ハイキングが、恐ろしい体験になるぬよう注意してください。
厚生省の統計によれば、スズメバチやアシナガバチなどハチに刺されて死亡する人は、1年間に平均34人(1987〜94)にものぼり、これは毒蛇の12人やその他の有害動物の9人をしのぎ、いまや日本における自然界のもっとも危険な動物になってしまっているといえます。特にキイロスズメバチは、オオスズメバチに次ぐ攻撃的な性格と強い毒をもっており、アレルギー体質の人が再び刺された場合は、異常反応を起こし短時間でショック死する危険があります。
キイロスズメバチは、人間が捨てるジュースの空き缶に残った糖分や生ごみのなかに残るたんぱく質を自分たちの栄養源として活用しているとの研究成果もあるようです。
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