高尾の豆知識 


  


 高尾山縁起によれば、ここを開いたのは遠く聖武天皇の時代にさかのぼるらしい。

 この時代は、日本古代史の中で最も華やかな奈良時代であり、奈良の都には東大寺の大佛殿などが造営され、日本全国六十余州の各々の国には、国分寺が建立された。

 真言宗智山派大本山である高尾山薬王院は、奈良時代の天平十六年(744)に聖武天皇の勅命を受け、東大寺大仏の建立の悲願のため諸国に国分寺造営を命じた天皇の願いを達成すべく薬師の像を刻んだ行基菩薩が東国鎮護の祈願寺として、道を開いたと言われている。



1-18.高尾山 夜のヒーロー ムササビ


 ムササビ(Petaurista leucogenys)はネズミ目リス科モモンガ亜科に属する哺乳類の一種です。野臥間、野衾(のぶすま)という異名があります。長い前足と後足との間には飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空し、樹から樹へと飛び移るのです。実に160m程度の滑空が可能であり、長いふさふさとした尾が滑空時に舵の役割を果たすといいます。

 高尾山の夜の主役といえばやはりこの「ムササビ」でしょう。翼を持たないので、コウモリのように空を自由に飛べるわけではありません。前肢から後肢にかけて発達した飛膜を使い、樹木から樹木へ滑空するだけなのです。まさにグライダーですね。でもたとえ目の前に巨木があっても大丈夫です。器用にカーブし、いともたやすく避けてしまいます。闇夜に40センチ四方もある動物が滑空する姿はまさに「空飛ぶ座布団」でありす。

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 さて高尾山の中腹に建つ薬王院の境内。ほぼ野球のグラウンドほどの広さに、数十匹のムササビがすんでいるようです。本来は単独で暮らすムササビがこれほどの密度で生息するのはきわめて珍しいことだそうです。
 ムササビたちにとって、古いお堂の屋根裏は絶好のすみか。そして境内に植えられた木々がつける花や実は格好の食べ物になっています。さらに、境内に適度な間隔でそびえる巨木は大滑空の出発点や中継点にはぴったりですね。

 それでは、ムササビを探しに行ってみましょう。まずは準備から。ムササビは夜行性動物です。少しの明かりでも、ムササビの生態を崩してしまいますので、明かりが必要なときは、懐中電灯を赤いセロファンで包み、赤いライトで確認しましょう。

 ムササビは日没約30分後、巣となる樹洞(樹木の穴)や寺社の屋根裏などから出て活動を始め、日の出約30分前に巣に戻ります。昼間は樹洞(巣穴)で休み、夜間に出てきて木の芽や葉、花、果実、種子を食べます。
 巣から出たムササビは木を駆け上がり滑空します。滑空距離は飛び出すときの木の高さの約3倍で、30m の樹高があれば約90m 滑空できます。

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 薬王院に到着したらまず、社務所に行ってムササビ観察の許可(届出)を得ましょう。社務所に行くとムササビ観察の注意点が書かれた用紙をもらえます。この際、樹洞の確認をしましょう。樹洞は薬王院内に5個以上は確実にあります。お寺の建物にも営巣しています。
 樹洞を確認したらムササビ活動開始まで待ちましょう。待っている間にムササビの糞や食痕(食べ跡)を探すのも良いでしょう。時々ライトを当てながらムササビがいるか確認しましょう。日没後30~からムササビの鳴き声「グルルルルー」が聞こえるはずです。ムササビは、グルルル~っと、機械のモーターのような鳴き声が特徴です。もともとムササビとは、身ささび(身が細い)とか、むせび泣く、という言葉からきたものだとか。昔の人たちはこの声に恐れをなしたのでしょうね。そこで聞こえたら鳴き声のする方向へライトを当てましょう。ムササビを発見できるかもしれません。
 
 ムササビを発見したらライトをちょっとムササビからずらして当てて観察しましょう。直に当てるとムササビがフリーズして行動しなくなるか逃げてしまいます。
 日没後1時間30分もするとムササビの活動が緩やかになってきます。この時間が大体のムササビ観察時間終了の目安でしょうか。

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