高尾の豆知識 


  


 高尾山縁起によれば、ここを開いたのは遠く聖武天皇の時代にさかのぼるらしい。

 この時代は、日本古代史の中で最も華やかな奈良時代であり、奈良の都には東大寺の大佛殿などが造営され、日本全国六十余州の各々の国には、国分寺が建立された。

 真言宗智山派大本山である高尾山薬王院は、奈良時代の天平十六年(744)に聖武天皇の勅命を受け、東大寺大仏の建立の悲願のため諸国に国分寺造営を命じた天皇の願いを達成すべく薬師の像を刻んだ行基菩薩が東国鎮護の祈願寺として、道を開いたと言われている。



1-10.住み分け


 高尾山の自然を語るときに「住み分け」をはずしてはいけない。なんとも自然の絶妙なバランスのすばらしさ不思議さを教えてくれるからだ。

 ケーブルカーの山頂駅から南東の斜面を見渡してみよう。四季を通して黒々とした常緑樹のカシ類が見事に生い茂っているのがわかる。
 ところが今度は目を転じて北西の斜面を見てみよう。すると今度はブナを中心とした落葉広葉樹に山肌が覆われているではないか。
 落葉樹であるため冬はその木々が寒々として 枯れ枝ばかりが目立ち、初夏ともなると新緑が燃えるような青々とした山に変身する。
 
 高尾山の表参道には、この常緑樹のカシと落葉樹のブナが並んで生息しているのです。なんとも不思議な光景としかいいようがありません。
 しかしなぜこんなことがありうるのでしょうか。常緑樹のカシは暖地に、また落葉樹のブナはやや寒い地方に生息するはずなのですから。
                             
 そもそも分布が異なるはずのブナとカシ、両者がこここに並んで繁っているのにはここ高尾山の標高に関係があります。この近辺は標高約500メートル。
 ブナ林が生息するにはやや低すぎるが、カシが生息するにはやや高すぎる標高です。そうなんです。両者は自分たちが生息できるお互いに限界すれすれの高度で、すなわち限界の気温の中で微妙な自然界のバランスを保っているのです。
 尾根の北斜面と南斜面の日当たりの差、温度差がこのブナとカシの林の違いということになるのです。




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