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高尾通信
圏央道と環境アセスメント


環境アセスメントとは

緑豊かな自然、きれいな空気や水、騒音のない静かな環境といった豊かな環境を将来に引き継いでいくことは、私たちに課せられた重要な義務です。
例えば、交通の便を良くするために道路を整備したり、水を利用するためにダムを作ったり、住宅団地や工業団地等を造成したりすることは、人が豊かな暮らしをするために重要なことですが、このような開発事業による環境への影響を極力低減するためには、事業の実施により得られる利益等のみでなく、環境の保全についても、事前に十分考えておくことが必要です。

環境アセスメント(環境影響評価)とは、環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を行おうとするとき、その事業者が自ら周辺の環境の状況を調査し、事業を実施した場合、環境にどのような影響を与えるかに関して予測及び評価を行って、その結果を住民に公表し、意見を聴き、より適正な環境への配慮を確保するための手続き(制度)のことをいいます。予測、評価される項目は、動物や植物などの自然環境、大気や水質などの生活環境、文化財などの歴史的環境、二酸化炭素などの地球環境に関するものです。


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圏央道の環境アセスメント

圏央道においても、事業主である都および国は、1986年7月環境影響評価書案(以下「環境アセス」案という)を公示した。「環境影響評価書案」(1986年7月)は高尾山とその周辺が都市部としては自然度の高い、たぐいまれな山であることを認めています。

しかし問題が指摘されたのは、それらが実際に調査した結果でなく聞き込みや既存の文献をよりどころとして記述された箇所があまりにも多いことでした。

生息する動植物のリストひとつとっても様々の不備が指摘されました。生息するはずのない植物が記載され、生息するはずの植物が記載されていないなどです。
現地調査を徹底的にやらなければその把握はできるはずもありません。  

さらに、1988年2月9日には、この環境アセス案に対する住民らの意見書(11,755通)に対する見解書を公示した。
この見解に対し住民らは47,948通の意見書を出した。この意見書の数は都の環境影響評価条例始まって以来の多数におよぶものであった。
この東京都による圏央道の環境アセス案に対しては、日本科学者会議東京支部の研究者専門家による「環境アセスメント研究会」および多摩地域の都市・地域問題や地域経済の専門家が集まって出来た「多摩地域研究会」が、自主アセスを行った。

そして、これに基づいて、1988年7月に「東京都による圏央道環境アセスメント」への総合的批判を発表した。
しかし、東京都はこのような批判を一顧だにしなかった。   
そして、東京都は、1988年12月に圏央道に関する環境アセス(北側アセス)を発表し、1989年3月、圏央道に関する東京都分の埼玉県境の青梅市から高尾山南麓の国道20号までの間22.5kmに関す都市計画決定を行った。


高尾山の植物分布の特徴は、種類は多いが必ずしもその個体数は多いとは限らず、特定の範囲に数個体が固まって分布していることもまれではありません。

それだけに去年ここで生息していたから今年もここにいけば見つかるといった保証もないのです。高尾山の実態を短期間の調査で可能なはずがありません。                    
圏央道は、各地域の自然豊かなところは、トンネルとするので自然環境への影響は少ないと説明している東京都ですが、果たしてそうでしょうか。
圏央道が本当に単純に一本通るだけのことなのでしょうか。道路工事による自然破壊は2つの形があります。

道路工事による植生の破壊、そしてもうひとつは通行量増大による排気ガス等による環境破壊と汚染さらに言えばこれによる周辺一帯の工場の廃液や廃棄物の投棄も考えられます。 

かつて、中央自動車道建設の際、排出された100万立法メートルの残土は、裏高尾の谷に捨てられた。積み上げられた小仏トンネルの残土でできた人工の山により裏高尾の谷の景観は一変してしまった。いまだに本来の自然景観には戻っていない。

また、裏高尾は高尾山等に囲まれ地形が非常に複雑で急峻である。従って大気の流れ、大気汚染の拡散状況は地形の影響を大きく受け、非常に複雑なものとなる。
事業者による環境アセスでは基本的なシミュレーションは平地を前提としたプリューム・パフモデルで行い、風洞実験を行うことにより、濃度の比を用いる等の単純な手法で濃度の補正を行っている。しかし当該地域の地形の複雑さを考慮するとこのような単純な手法で推計できるものではない。

換気塔からの寄与を含めない場合でもジャンクション南東側の住宅に環境基準を超える濃度が予測された。さらに、換気塔から排出される窒素酸化物を考慮した場合には環境基準を超過するとみられる地域が相当数の住居にまで及び、ジャンクションに近い住居においては年平均0.04〜0.05ppmを超える高濃度となるおそれがあることが分かった。また、換気塔から排出された排ガスにより、ジャンクションから1kmもはなれた地域において環境基準を超える可能性があることも分かった。

1995年2月、国史跡八王子城跡の井戸「坎井」が涸れる事件が起きた。
これは、1994年5、6月に建設省が行ったボーリング調査が原因であった。
さらに1996年春には、八王子城跡の圏央道トンネル坑口付近で、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律で絶滅のおそれがある鳥に指定されているオオタカの営巣が発見された。 

しかし、国および日本道路公団は、八王子城跡の井戸涸れとボーリング調査とは関係なくトンネル工事をしても井戸涸れは起きないと強弁し、またオオタカの営巣にも圏央道工事は影響を与えないと決めつけて、関越自動車道から中央自動車道までの供用を急いだ。

 国および日本道路公団は、1998年9月から北浅川仮橋工事を始め、さらに、1999年9月、八王子城跡トンネル工事および北浅川橋梁工事を開始し、八王子市裏高尾町の高尾山北麓では、現在中央自動車道とのジャンクションの建設工事を強行している。

一方、国道20号線から神奈川県境にかけての圏央道工事計画は1995年3月東京都の環境アセス案が出た。これに対し市民の会を中心に反対住民は1996年2月、36,568通の意見書を提出した。しかし、東京都は住民の意見書を十分検討することなく、1996年3月これに対する環境アセス(南側アセス)と見解書を提出して都市計画決定手続きを強引に進めた。1997年2月に東京都は都市計画決定を行い、建設省は工事の準備を進めている。



地形・構造物を配慮した道路大気環境アセスについて
        〜圏央道裏高尾ジャンクション・アセスを事例として〜
             鷹取 敦(環境総合研究所)氏、青山 貞一(環境総合研究所)氏


従来より、環境アセスメントについては共通した問題点がいくつか指摘されている。
まず、「調査期間、調査実施方法が不十分であるため当該開発予定地の実体が把握されず重要な種について欠落があったり、過小評価があること」。そして「現地の野生生物などについて事実を過小に評価したり、開発による影響を過小に評価すること」、三番目に「代替措置に対する過大な評価を行うこと」、そして「参加手続き、情報公開手続きの欠如」である。高尾で行われた環境アセスメントもまさにそれであった。



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